AI(人工知能)によるFXトレードの現実と未来

AIによるFXトレードの実力を解剖「AI取引の現在と未来」
FXトレーダーR

AI(人工知能)によるFXトレード。
現在ほど高性能ではありませんが、実は大きな資金を運用する、いわゆるマーケットメーカーと言われる大口としては10年以上前からAIによる為替取引は行われていますが、数年前からちらほら個人レベルでもそういった言葉を目にするようになってきました。
それだけAIというものが身近なものになったのかもしれませんね。
わたしは何でも自分でやってみて分析してみるという性分ですので、実際にAIを使ったトレードを試してみた結果、どのような経験をしたのか、そして今後ますますAIによるFXトレードが席捲していく為替市場の中で個人トレーダーとして生存するための立ち位置とあるべき姿を考えてみようと思います。

目次

AIによるFXトレードは勝てるのか?

AIによるFXトレードは勝てるのか?

AIによるFX取引システムの導入

「AI」を使用したFX取引システムにはAIとは名ばかりの単純戦略の自動売買も多いのですが、今回運用させていただいたのは前回の記事でお話したトレーダーさんより試作品としてお借りした本格的で完全なオートトレードシステムです。このシステムは、複雑なアルゴリズムを備えており(詳細な戦略は明かしていただけませんでしたが)で、超高頻度取引にも対応しています。
▶前回記事:EAや自動売買への見解

どのような動きを見せてくれるかと期待に胸を膨らませながら導入しましたが・・・
導入後数分でPCクラッシュ・・・
やはり高頻度取引というのは相当なPCのスペックが要求されるのですね。。。ご提供いただく時に警告はいただいていたのですが甘く見ていました。

運用結果と課題

気を取り直して結局取引頻度を大幅に落とした内容で本来のAI特有の優位性を100%生かす事は出来ない仕様での試行となったのですが、その結果は・・・

1ヵ月間の運用で1.2%プラスとなりました。

発注と決済ポイントを観察すると、エントリーはかなり素晴らしいもので逆行の少ないピンポイントの発注・・・なんというか非常に上手いです。
一貫したトレードには見えないにも関わらず、順張りでもなく、逆張りでもなく、伸びる瞬間を捉えます。

しかし問題はエグジットです。
まず損切りが出来ない(なかなかしない)ため、逆行する度に損切りを伸ばしながら、大きなドローダウンを抱える時期もありました。
AIって頑固な性格なのでしょうか・・・有名なChatGPTなんかもなかなか考えを曲げない事があるようですね。

さらにチキン利確が多すぎる。せっかく根本で捉えたポジションをいとも簡単に数pipsの利益で撤退してしまっている事が多く見受けられました。
やはり最新のAIにとってもエグジットは難しいのだろうと妙な親近感を抱いています笑
とはいえ、放置しておくだけで年間10%以上の利を生み出す可能性を持つのですから大したものです。

AIによるFXトレードの現在と未来

大口ファンドトレーダーのFX手法におけるAIの活用方法

もしAIが為替市場を席捲したら・・・

以前、生徒さんのお一人に

「優秀なAIを積んだEAが相場に出回るとどうなると思いますか?」

と聞かれて考えたのですが・・・
本当にそのような事が起これば、おそらくチャートから値動きが無くなるでしょう。
AIが判断基準とできるのは確率ですから、その確率は下にも上にもほぼ無限です。(算出しようと思えば、データがある限りどこまでも計算可能)

移動平均線を思い浮かべてください。
小さな数値の設定ならば、価格に沿うように動きますが、数値を大きく設定すればするほど、水平に近くなりますよね?
AIも移動平均線と同様、相手に勝つためにより有利な確率を利用し、大数が巨大化するほど平準化し、
最終的には0.1pipsの変化を上下に繰り返すチャートになるのではないかと予測します。

現実的には欲望を持った人間がAIの動作をある程度統制できる以上、このような事は起こりえませんが、AIを介さない個人レベルのトレードにおいて、例えば5分足を主戦場として相場と対峙するために、週足のMAだ日足からのマルチタイムフレーム分析だ、と大数を意識しすぎてしまう事が最も恐れるべき事です。

大口の現実

前述のように、わたしが個人で手に入れられるようなAI技術を施したオートトレードは上記のような程度のものが限界です。
ですが現状の大口、マーケットを左右できるような組織が為替取引で使用しているのは、現実にはほとんどがAIによる取引であり、人は直接的な取引にほとんど介入していません。
ビルの高層階オフィスで何枚ものモニターを前に敏腕トレーダー達が各々持ち味としている手法や分析で日々トレードを行っているイメージがありますが、実際は無機質なPC、この場合はマシーンと表現した方がよいのかもしれませんが、PCタワーが立ち並び、冷却ファンの音が響き渡っているだけです。

もちろんトレーダーが動かしているファンドなどもあるにはありますが、上記AIによるシステム取引が主流です。相場の8割は大口が動かす資金です。個人トレーダーは全員合わせても2割にも達しない小さな存在に過ぎないのです。

AI取引時代の個人トレーダーが目指すべきFXトレード

個人トレーダーがAIや大口ファンドにFXで勝つために必要な事

ではそんな個人トレーダーが相場から利益を得るには何が最善のトレード戦略となるのか。
AIには出来ず人間だからこそ出来る事、大口には出来ず個人だからこそ出来る事。

それは人間ならではのトレードの技術を高める事しか無いと思います。
(しかも「個人」の強みを最大限に生かしながら)

言葉では難しく感じられるかもしれませんが、これはそれほど難しい事ではありません。
AIはデータに基づいた判断しかできませんが、人間は経験と柔軟性を持ったトレードができます。(特にエグジット面において)
そして個人が優位になるトレードの技術とは、優位性が確認された手法ルールの元、適切な資金管理をもって勝ちやすい局面を限定したトレードを継続する事です。
大口は資金が大きいがゆえに実はこういった細かく素早い判断を要するトレードは出来ません。

生徒さんによくお話する事

手法のルールそのものも大切なのですが、これに支配されて思考を止めてはいけません。
手法とは相場から利益を抜き取るための手段に過ぎません。
勝ちやすい足を見抜きやすくする事こそが手法の役割なのです。

そのため、一つ一つのトレードに固執する必要はなく、優位性あるルールを基本として、チャートの位置も見て入れたかどうか、上手にエントリーしてきれいに伸びたらOKですし、伸びなかったとしても、損失を最小限に抑えて(あわよくば微益にして)そのトレードを終えます。

同様の場面で次も思惑通りいくかどうかは分かりませんから、相場に期待し過ぎない様に、その都度で出来るだけベストな選択ができるように観察して、多くの場面を見て、引き出しを増やしておくと、落ち着いて対応できる局面が増えてきて、その積み重ねが自信や安定したトレードに繋がります。

こういったトレードが
「人間」であり「個人」だからこそ習得できる最善のFXトレードである
と考えています。

今回もお読みいただきありがとうございました。


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