わたしは現在はRCIを使用した裁量手法によるFXトレードが専門ですが、以前はダウ理論を基礎とした無裁量手法でトレードを行っておりました。
ですのでこの記事は決して無裁量でのFXトレードを否定する訳ではありません。
FXにおいて裁量と無裁量という相反する2つの形式で専業トレーダーとして活動した経験から感じたことをお話しいたします。
無裁量手法への見解
無裁量手法の問題点
無裁量手法の問題点は同じ対応しかできない、という事です。
同じ対応をしなければならない、と言う方が正しいかもしれませんね。
(自分の考えやチャートの状況よりも「定められたルール」が絶対のものであるため)
チャートは状況に応じて千差万別、姿形を変えていきます。
トレンドなのか、レンジなのか、相場は落ち着いているのか、過熱しているのか、有利不利はどうか、何か障害があるのか、ないのか、
このような状況を一切考慮しない、考慮してはいけないのが無裁量による手法です。
もちろん無裁量なりに適用する場面を定義するのですが、それを勝ちに傾けるのは裁量以上に研鑽とデータを積み重ねる必要があります。
裁量手法との比較
たとえば8本RCI-FX手法のロジック②③はロジック①とは全く違う場面を捉えますので、当然なのですが、狙う場所が変わることによりRCIの扱い方が全く変わります。
無裁量トレードは決められた事を実行するだけです。
よってチャートに手法をあてはめているのではなく、手法にチャートを当てはめている状態です。
世に在る無裁量トレードは全てこれです。
勝ちきるまで到達する事が難しい。
(年度によるカーブフィッティングを考慮せず誤魔化す事は簡単ですが)
特に質の悪い無裁量手法は本当にたちが悪く、コツコツ利益を積み立てドカンと損失で元本ごと吹き飛ばすことになるか、コツコツ損失を積み上げドカンと利益を出して補填するはずが、積み立てた損失が大きすぎて補填が追い付かず、じわじわ資金を減らします。
無裁量の手法は一見簡単で楽に感じますが、裁量と違う側面で正常なメンタルを保持する事が難しく、最終的にはルールを破り多くの資金を失う方も多いように思います。
無裁量運用の壁と利点
前述のように無裁量手法とは決して簡単なものという事では無く、無裁量には無裁量の壁が立ちはだかります。
無裁量手法の一つの答えとしては、「これまでの相場におけるカーブフィッティングを考慮した検証方法において、資金が上昇曲線を描いている手法」という条件をクリアした上で、コツコツ利益を積み上げながら損失を利益範囲内にコントロールする事が必要となります。
これは自動売買にも当てはまる事なのですが、まずは投下資金の確保を最優先します。
資金管理と複利を組み合わせながら、バルサラの破産確率に準じて破産確率がゼロ、あるいはゼロに近いゾーンで運用する事が、FXにおける無裁量手法運用の正しい在り方であり利用方法だろうと思います。
FXに適しているのは裁量か無裁量か
8本RCI-FX手法の立場
裁量の手法は、一度身に着くとそうそう崩れる事はありませんが、不適正な学習方法や継続度合いによって身に着かない事もあります。
無裁量の手法は取っつきやすくはありますが、勝ち負けの波が大きく、資金増加も裁量と比べるとかなりスピードが劣ります。
そもそも相場とは上下5分5分であるため(取引会社への手数料やスプレッドを除く)、無裁量手法や自動売買といったどのようなチャート状況であっても、こちら側の条件やルールで当て込みにいく行為の勝率は、限りなく5分5分に近づかざるを得ないのです。
そしてそんな条件の中で検証期間内における小さな資金増加の事実や目途という優位性を担保に取引するという訳ですね。
少しお話が逸れてしまいましたが、このように裁量には裁量の壁、無裁量には無裁量の壁があります。
本手法は、身に着くまでは無裁量より時間を要しますが、勝てる可能性の高い足を1本単位まで絞り込むという精細な分析を行い、パーセンテージによる資金管理を行うために勝ち負けの波は小さく、それでいて裁量ならではの爆発力も有しているという、いわば裁量と無裁量を併せ持つハイブリッド型のアプローチとなります。
生徒さんからよくいただく言葉があります。
検証課題取り組み中・・・
「半分以上負けた気がしたけど、結果的に勝率は6割を超えていた」
デモやリアルトレード実践中・・・
「今週は結構負けた気がしたけど、資金は減っていなかった」
人間は本能的に危険を避けようとしますから、「負け」は強く心に頭に刻まれます。
そのため、勝ちの数やpipsがプラス側に上回っていたとしても、負けを回避するために自身の感覚は負けた側に寄る事になります。
トレードが崩れる原因は、ルールを甘く見てしまっていたり、エントリーしたくて分析が雑になってしまったり、そういった負けをプラスマイナスゼロ収支(無かった事にしたい)にするためのリベンジトレードに起因する事が多いです。
しかし、適切な資金管理の元、勝率を追及した手法を持って正しいトレードを行っていれば、そう簡単にマイナス収支が継続し続ける、という事はありません。
RCIによるFX手法で目指すところ
PDFや動画のみで、手法精通者との継続的な関わりが無い場合の習得が難しいのは確かです。
だったら無裁量の手法ならば読むだけ実行するだけで大丈夫・・・ ところがそういう訳にはいかないのです。
FXはそれほど単純ではありません。
なぜここまで言えるかと言いますと、わたしもかつては無裁量手法を構築して生計をたてていた事があるからです。
無裁量でもEAでも手法や状況は変化します。それも大抵は悪い方向に。
(時勢による不一致やドローダウンの時期、正常なメンタルの維持も含めて)
そういった事を知っているからこそ、まずはレクチャーで手法ルールの認識を重ね、次に検証を通じて手法の正しい適用方法を重ねて、そして実践でわたしの実トレードと重ねていく、このような行程を各個人の進捗に合わせて行っていく事が最善と考えています。
ここまでやっても同じトレードになるまで、早い方でも1ヵ月はかかりますが、正しい過程を経て習得した手法はそう簡単には崩れません。
多くの方にお教えしてきて、FX技術の教示とは既に勝てている者がどれだけ寄り添えるか、この一点につきると感じていて、結局のところ最終的な到達点はほとんど同じになります。
本手法は裁量でありながら、わたしと同一ポイントでのエントリー&決済を目指し、わたしと認識を重ねていくという無裁量的な作業となります。
裁量か無裁量か。両手法経験者から見た結論
裁量及び無裁量、両手法の利点と欠点を把握した上で、どちらが自分に合うのか、継続できるのか、を判断する事。
わたしの場合は無裁量手法は耐える事が出来ませんでした。
「負けの許容」や「愚鈍な資金増加」「大きなドローダウン(口座残高を大きく減らす)」「口座を飛ばす恐怖」という無裁量手法特有の壁を乗り越える事が出来なかった、という事です。
しかし、わたしのみならず、多くの生徒さんが専業/兼業トレーダーとして利益を積み上げている現在の8本RCI-FX手法は、無裁量手法の欠点に耐え切る事が出来なかったからこそ辿り着く事のできた領域であり、裁量手法でFX相場に対峙する一つの完成形であると自負しております。
レクチャー:ルールそのものの習得
↓
検証:正確なルールの適用を習得
↓
実践:アールの実際のトレードと重ねながらトレード技術の向上
このような段階を経て、安定したトレードが出来るようになり、それに伴って相場に自分の力で対峙できるんだ!という自信が身に付きます。
身に着けた8本RCI-FX手法のルールでそのまま無裁量トレードをしても一定の成果(RR1:1勝率6割程度)をあげることはできます。
ですがわたしはそれだけでは勿体ないと思います。
実践を経ながら、さらに相場を有利に立ち回れる技術も毎週の生の最新相場を使いながら見ていきます。
その先にあるのはRCIによる裁量と無裁量の性質を合わせ持った圧倒的なトレード技術の習得です。
次回はこれに関連して自動売買やサインツールについての見解も記事にしてみます。
自動売買というのは、簡単に言ってしまえば無裁量手法の自動化に過ぎませんが、わたしなりの切り口で書いてみようと思います。。
ご拝読いただきありがとうございました。アール